2009年03月

2009年03月27日

コスト削減とは何か

3.30号の日経ビジネスで「コスト削減の達人」という特集が組まれていた。

この経済状況下のわかりやすい特集。

読んでいて、各社いろいろなことをやっているなぁ、と思った。


同時にこの1年半を振り返った。


実は、というほど新しい話ではないが、ドリコム社では1年半ほど前に事業の立て直しに全社をあげて取り掛かった。


2007年の初夏、数人のプロジェクトメンバーを極秘で任命して、PLとBSの双子の赤字を建て直す計画を策定して、社員を集めて発表した。


このあたりの話は書き出したらきりがないほどいろいろなエピソードがあるわけだけど、目下、半年後に向けての命題としてあったのは、


2008年3月末までに経常利益を黒字にすること

2008年3月末までに資金調達のめどをたてること

だった。

なんでかといえば子会社の株式を担保に入れた借入に対してのコビナンツ(借り入れの際の約束事)がそうなっていたから。

このあたりのことは当時、いくつかのメディアやブログで言及されていたので調べたらわかると思うけど、まぁ、一言でいえば崖っぷちの状態だったと。


そういう意味では明確な目標があって様々なコスト削減施策を実行していった。

結果、PL、BSともに改善し、ちょうど本日リリースも出したように、銀行からもそれが認められて担保に入っていた株式の質権が100%解除された。




ただ思うに、上記のような何が何でもいつまでにいくらこの数字にしないとやばい、みたいな状況というのは特殊で、通常の会社はもう少し違った視点でコスト削減施策に取り組んでいると思う。

例えば日経ビジネスの掲載企業とかだと原価率を目標○%削減するとか。

あとは営業利益率をどれぐらいまであげるとか、そういった目標値。


もちろん目標値を明確にしないと具体的な削減施策はでてこないわけなんだけど、一方でコスト削減というのは時にはトレードオフで何かを失う場合もある。


その時に目標値として掲げた5%削減を達成することと今目の前で失うもの、どちらが大事なんだろうという疑問に思う場合も出てくると思う。


その5%にどれだけ大きな根拠があるのかって話で。


もちろん、一度決めたことが重要という視点もあるわけだけど、

この1年半やってきて思ったことは
(あくまでこの1年半の中での思ったことなので10年後考えが変わっていることは十分にあり得ると思うけど)
削減したコストを何に使うのかということが重要で、
言いかえれば何のためのコスト削減なのかということ。


それが数字だけだと納得性が低い場合が往々にしてある。



まだ成功事例としてはという切り口でこの1年半やってきたことを話せるような段階にはいないし、まだその半ばにいるのだけど、事実ベースでできる話だと



当社でいえば前期の下期(2007年10月から2008年3月)はいまいろいろな業界がそうであるように採用費や広告宣伝費をできる限りカットした。



今期ももちろんコストコストコントロールの強化は行っているものの、削減した余力の一部を広告宣伝費に回し、3Qまででも売上の10%にあたる1.5億ぐらいの広告宣伝費を投じている。

特に純広告を増加させたので、短期的に回収をする目的ではなく、
中期的な成長に向けて出稿を増やした。

(もちろん、利益は前期より上回って進捗しているうえで)








明確な数字をたてて、コスト削減を行うというアプローチもあるわけだけど、

ここにお金を投じるために、何を失うか(それは時に精神的なものだったりもする)というほうがわかりやすいことも多い。



社内で予算がないからできないけど、やったほうがいいことは考えればたくさんあると思う。



一方でそのやったほうがいいことと

いままでずっとこうやっているから、というだけでかけてしまっている費用を

天秤にかけたときに前者を選択する経営判断は十分にあると思う。













コスト削減の大義名分というのは実は非常に難しい問題で


いま多くの企業が大胆なコスト削減施策に乗り出せているのは


未曾有の経済情勢という大義名分ができたことが非常に大きい。






しかしながら、一方でコスト削減とは何か、

コスト削減は何のためにやるのか、


という根本に関してこの機会に一度立ち止まって考えてみることも忘れてはならないなと思う。












それにしてもまぁ、僕らも事業再編のタイミングが1年遅れていたら、

と思うと、


なかなか経営をしていく中でタイミングは重要だなと感じる今日この頃である。


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2009年03月13日

モバイルビジネスとCMを考える

企業のCM離れが叫べれて久しい昨今ですが、一方で最近ネット企業のCMもよく見かけます。

モバゲー、GREE、music.jp、ドワンゴ、サイバーエージェントFX、クリック證券、パクロス、etc


そこでIR資料があるDeNA(モバゲー)、GREE、MTI(music.jp)、ドワンゴの4社の広告宣伝費と獲得会員数から単純に獲得単価を出してみた。


DeNA 2008年10月?12月

広告宣伝費 910百万円

上記期間 会員獲得数 70万人(モバゲーのみ)

獲得単価 1300円(全広告宣伝費/獲得会員数)

売上に占める広告宣伝費の割合 9.7%




GREE 2008年10月?12月

広告宣伝費 312百万円

上記期間 会員獲得数 132万人

獲得単価 236円

売上に占める広告宣伝費の割合 10.7%




ドワンゴ 2008年10月?12月

広告宣伝費 962百万円

上記期間 会員獲得数 -1.6万人(モバイルサービス)

獲得単価 -

売上に占める広告宣伝費の割合 13.8%




MTI 2008年10月?12月

広告宣伝費 1301百万円

上記期間 会員獲得数 60万人

獲得単価 2168円

売上に占める広告宣伝費の割合 22.4%



各社複数サービスを行っており、広告宣伝費も複数媒体に渡っているため、一概に言えないが簡単な概算が上記のような感じ。


単価の安い順に並べてみると

GREE 236円

DeNA 1300円

MTI 2168円

ドワンゴ -



GREEは単一サービスなのと広告宣伝費の多くがCMだと推測されるわけだが、他社に比べてかなり安いのはプロモーションがうまいのと、口コミでの獲得がうまくいっているからだろう。


一方で決算資料から見る限りMTIも売上の多くがmusic.jpであり、CM効果によって会員増につながったとあるため、2168円は結構近い数字じゃないかと思う。



GREEの上記四半期の有料課金が2180百万円で同四半期の平均会員数が759万人のため、1人当たりの月平均課金収益が96円。

広告収入が729百万円のため、1人当たりの月平均課金収益が32円であるので、合計して128円。

平均滞在期間が1.8ヵ月で会員獲得費用と売上がイコール。


一方MTIは1人当たりの月額平均収益が302円なので7.2ヶ月でイコール。


それはちょっと数字がおかしいかなぁと思い、違う視点でも試算。

MTIの同四半期の売り上げ増分が新規に獲得された60万人(毎月20万人づつ増)によるものだと仮定すると差分は233百万なので延べ120万人が生み出した売上のため1人当たりの月額平均収益194円。

302円より小さくなってしまった。


MTI社の営業利益率は4.6%。

(原価+販管費)に占める広告宣伝費の割合が23.5%なので、


幽霊会員が利益を押し上げているとしても、

通常サービスに比べmusic.jpの着うたは継続率が高いんだろうなぁと思われる。





ここまできて、決算説明資料からモバイルビジネスとCMの相関性を割り出すのは結構難しいことに気付く(苦笑)


各社は勿論社内で諸々資料があるだろうが、

決算資料ではまるまった数字しか見れないため、何とも言えない。




ただ、ここからはだいぶ所感になってしまうが


1.TVCMの単価が下がってきているので課金系サービスのネット会社にとってはTVCMを自社の会員獲得手段として検討してもいいんじゃないか。


2.特に、ターゲット層が広いサービスで、かつ1会員の生涯収益(退会までの支払われる売上?原価)が1000円ぐらいある企業は検討に値する気がする。


3.ただし、資料からは読み取れないが、CM製作費がぴんきりにしてもそれなりにかかるので(どんだけ安く作っても数百万はかかると思われる)月1億、4半期で3億ぐらいはCMにかける予算がないと制作費の割合が高くつくなと思われる。


4.CMの直接効果だけでなく、CMを流している期間に他のメディアをどう使うかによって会員獲得単価を以下に下げれるかがキーだなと思う。


5.従量制のサービスで、かつ1回DLしたら終わりのようなサービスはCMに向いていなくて、やはり月額制か継続率が高くないとそもそも難しい。
(当たり前だが従量しかなく、かつターゲットが小さいiphoneアプリではどうやってもCMは割に合わないわけで)




逆に、CMをうてるにたるサービスは何かという視点で考えてみるのもいいと思う。

やはり、全国放送で1%が約100万人が見ているわけで10%の番組だったら同時に1000万人がみているメディアというのはテレビしかない。


ネットメディアでの会員獲得も単一サービスで月1億を使おうと思うとかなりリーチがかぶるだけでなく、フリークエンシーが高くなりすぎてしまうのでおのずと出せるメディアが限られてくるわけで。



テレビを販促メディアとして使うというのは昔からなかなか効果が難しいといわれてきているがこういうタイミングこそいい転換点じゃないかなと思う。


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